むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。
おじいさんがいつも(はたけ)に出て(はたら)いていますと、(うら)の山から一ぴきの(ふる)だぬきが出てきて、  おじいさんがせっかく丹精(たんせい)をしてこしらえた畑のものを()らした上に、  どんどん(いし)ころや(つち)くれをおじいさんのうしろから()げつけました。
おじいさんがおこって()っかけますと、すばやく()げて行ってしまいます。
しばらくするとまたやって()て、あいかわらずいたずらをしました。
おじいさんも(こま)りきって、わなをかけておきますと、ある日、たぬきはとうとうそのわなにかかりました。

たぬきをしばってかついで帰るおじいさん 

 おじいさんは(おど)()がって(よろこ)びました。
「ああいい気味(きみ)だ。とうとうつかまえてやった。」
  こう()って、たぬきの()(あし)をしばって、うちへかついで(かえ)りました。