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たぬきは、「あつい、あつい、(たす)けてくれ。」
 
とさけびながら、夢中(むちゅう)でかけ出しますと、山風(やまかぜ)がうしろからどっと()きつけて、よけい火が大きくなりました。
たぬきはひいひい()(ごえ)()げて、(くる)しがって、ころげまわって、やっとのことで()えるしばをふり()として、穴の(なか)にかけ()みました。

背中が燃えているたぬき 
うさぎはわざと大きな(こえ)で、「やあ、たいへん。火事(かじ)だ。火事だ。」 と言いながら帰っていきました。