3
するとそのときまで、おとなしくぶら下がっていたたぬきが、上から声をかけました。
「もしもし、おばあさん、くたびれたら少しお手伝いをいたしましょう。その代わりこの縄をといて下さい。」
「どうしてどうして、お前なんぞに手伝ってもらえるものか。縄をといてやったら、手伝うどころか、すぐ逃げて行ってしまうだろう。」
「いいえ、もうこうしてつかまったのですもの、今さら逃げるものですか。まあ、ためしに下ろしてごらんなさい。」

あんまりしつっこく、殊勝らしくたのむものですから、おばあさんもうかうか、たぬきの言うことをほんとうにして縄をといて下ろしてやりました。
するとたぬきは、「やれやれ。」としばられた手足をさすりました。