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うさぎはそのひまに、ふところから火打(ひう)(いし)を出して、「かちかち。」と火をきりました。
たぬきはへんに思って、
「うさぎさん、うさぎさん、かちかちいうのは何だろう。」
「この山はかちかち山だからさ。」
「ああ、そうか。」
 と言って、たぬきはまた歩き出しました。
そのうちにうさぎのつけた火が、たぬきの背中(せなか)のしばにうつって、ぼうぼう()え出しました。