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原っぱまでくると、
おおかみは、
やはり木のかげにながながとねそべって、
それこそ木の枝も葉も、
ぶるぶるふるい動くほどの高いびきを立てていました。
ところで、
おかあさんやぎが、
おおかみのようすを遠くからよく見ますと、
そのふくれかえったおなかの中で、
なにかもそもそ動いているのがわかりました。
「まあ、
ありがたい、
おおかみのやつ、
うちのこどもたちを、 お夕飯にして、
うのみにのみこんだままだから、
みんなきっとまだ生きているのだよ。」
こうおもって、
おかあさんやぎは、
さっそく、 うちへかけこんで行って、
はさみと針と糸をとって来ました。
それから、
おかあさんやぎは、
このばけもののどてっ腹を、
ちょきんとはさみで、 ひとはさみはさみました。
するともうそこに、
一ぴきのこどもやぎが、
ぴょこんとあたまを出しました。
おかあさんはよろこんで、
またじょきじょきはさんで行きますと、
ひとり出、
ふたり出して、
とうとう六っぴきのこどもやぎのこらずが、 とびだしました。
みんなぶじで、
たれひとり、
けがひとつしたものもありません。
なにしろ、
この大ばけものは、
むやみとがつがつしていて、
ただもう、
ぐっく、 ぐっく、
そのまま、
のどのおくへほうりこんでしまっていたからです。
まあうれしいこと。
こどもたちは、 おかあさんやぎにしっかりだきつきました。
それから、
およめさんをもらう式の日の、仕立屋のように、
ぴょんぴょんはねまわりました。