ある() おかあさんやぎは、 こどもたちのたべものをとりに(もり)まで()かけて()くので、 七ひきのこどもやぎをよんで、 こういいきかせました。

「おまえたちにいっておくがね、 かあさんが森へ行ってくるあいだ、 ()をつけてよくおるすばんしてね、 けっしておおかみをうちへ()れてはならないよ。 あいつは、 おまえたちのこらず、 まるのまんま、 それこそ(かわ)()もあまさずたべてしまうのだよ。 あのわるものは、 わからせまいとして、 ときどき、 すがたをかえてやってくるけれど、 なあに、(こえ)はしゃがれて、 があがあごえだし、 (あし)はまっ(くろ)だし、 すぐと()わけはつくのだからね。」

家をでるお母さんやぎ 

 すると、 こどもやぎは、 (こえ)をそろえて、 「かあさん、 だいじょうぶ、あたいたち、よく気をつけて、 おるすばんしますから、 心配(しんぱい)しないで行っておいでなさい。」と、 いいました。

 そこで、 おかあさんやぎは、 メエ、 メエといって、 安心(あんしん)して出かけて行きました。